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コロナ禍の同人イベントについて訴える

  • 8月 21, 2020
  • 8月 28, 2020
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人にはそれぞれ優先順位があります。

世間が混乱しているときには、特に自分の大事なものを優先してそれを注視していないと、気づかないうちに失ってしまうことがあります。

例えば戦争で、夫や息子を戦場に送り失った数多のお母さんたち。

例えば福島の原発事故で、避難所にペットを連れて行けず、断腸の思いで家に置いたまま避難して餓死させてしまった飼い主さんたち。

どちらもその時その場所で模倣的とされる行動です。
当時は家族を出兵させたくないと主張すれば非国民ですし、避難所にペットを連れて行くなんて言語道断。アレルギーの人もいます。避難に時間がかかれば、ペットより人だろう!と糺弾されました。

けれども、この模範的行動の結果はどうでしょう? 
大きな後悔が残っている当事者もいると思います。

では、反対の行動を取ったらどうでしょう?

出兵を断ることは結局できないし、非国民として周囲に責められ、村八分にされ特別警察にしょっ引かれたかもしれません。

地震に次ぐ原発事故災害。見えない放射能で避難誘導の方々の健康被害が心配される中、人間ではないペットの避難に時間を取られることは多大な迷惑をかけることになります。それにより逃げ遅れたり、車中泊を選ぶことで家族や自分に健康被害が出るかもしれません。

なにが「正しい行動」かなんてわかりません。
「正しい行動」=いい結果とも限らない。

そもそも、この世の中に「正しい行動」なんていうものはありませんし、考えてもわかりません。主語が無いからです。

「〇〇のために正しい行動」とすれば、だいぶクリアになります。
行動選択後の後悔を減らす為には、この〇〇を、自分か、自分より大事な人(もの)にすればいいと、私は考えます。
「××のためにその行動は間違っている!」と糾弾されても「私は、××よりも大事な〇〇の為にこの行動を選んだ」と自分自身納得できるからです。

一番後悔をするのは、思考停止をして周囲に流された結果、意図せず大事なものを失った時でしょう。ほんの少し気にしておけば失わずに済んだかもしれない…

だからこそ、貴方に大事な人やものやコミュニティがあるなら、一度ゆっくり考えてみて欲しいのです。

・年老いた家族が大事だから、それを守るべく外に出ないようにする。
・家族や自分の生活を守りたいから、満員電車にもまれても出勤する。
・一心不乱に働いて建てたお店が大事だから、人を呼ぶ努力をする。
・大事な人が医療従事者だから慎重な行動を呼びかける。

その人の優先順位によって、人それぞれの行動は変わります。
それは当然のことなのに、まるで理解がないような意見が散見されますし、
それどころか、一部同調圧力のようなものさえ感じるコロナ禍の今現在を憂いています…。

さて。前置きが長くなりましたが…
このブログを読んでくださる同人イベント好きの皆さんに、御自身の中にある大事なものの優先順位のなかで、「同人イベント」が何位くらいに入るのか、それをゆっくり考えてみて欲しくて、この記事を書きました。

私がマイノリティなのは充分承知していますが、もしかすると私と同じように同人誌即売会に特別な気持ちを持ち、それが優先順位の上の方に来るという方がいるかもしれない。

その方に、後悔のない選択をしてもらえたら、という思いからです。

ちょっと自分語りが入りますがご了承ください。

昔々の話です。
私は、地方都市福岡に住む漫画が好きな子供でした。

同じく漫画好きな先輩たちに連れられて、小学校の頃からももちパレスや博多スターレーン、福岡国際センターなどで開かれていた大小の即売会に参加して、作品を発表する喜びを知りました。

下手くそな小、中学生の描いた絵をお兄さん、お姉さん達が見て、褒めてくれて買ってさえくれる。憧れの作家さんと知り合えて仲良くなれたら一緒に作品作りもできる。その場所は、私の1番の居場所でした。

発達障害で学校では浮いた存在。
未診断でなぜ周囲になじめないのかも理解できない。
家庭の経済状況も両親の仲も不安定。
それでも同人イベントにさえいけば誰かに認められ、ほめられる。

大人になっても変わらず絵が好きで。
でもプロの漫画家になれるほどの実力ではない…
あこがれてたプロ漫画家になるのは無理だって悟った時も、
超絶ブラックなデザイン会社で働いて心身を壊していた時も…

変わらず絵を見てもらうことができる場所があったから自分を保てました。
楽しく絵を描き続けることができました。

退職して、エロ同人始めて、ちょっとずつだけどお仕事ももらえるようになって
今でもまだまだこの世界にいる事が出来ています。

自分語り、ここまで。

地方の絵描きにとって、お小遣いで参加できる地方の同人誌即売会はかけがえのないものでした。(昔は1スペース1000円、2000円だったのです)
ここで育まれたものは本当に大きかったと思います。

SNSでも作品は発表できます。でも違うんですよ。

「うまいねーすごいねー」のおだてあいだけじゃなくて、同人誌即売会はもっともっとシビアな世界だからです。
お金を出してまで買ってもらえる作品を企画すること、その結果を自分の目で見ること、在庫のリスク、完売の喜び。そしてイベントに間に合わせるための締め切りの存在。

その全てを幼少期から体感できる環境が多数あったからこそ、クールジャパンの下支えをする何万ものアマチュア作家が育まれたのではないか、と私は思っています。

無駄に長くこの業界にいるため、色々な作家さん(プロ含む)と交流してきましたが、今は去った彼ら彼女らを見てきて、自分をプロデュース出来ないと絵描きという生き物は周囲に食いものにされることを知りました。

自分の絵の価値がわからない世間知らずでは、よほど突出した才能がない限りある程度上手くなっても企業に安く都合よく消費されて、飽きられると簡単に捨てられます。

だからこそ、私は幼少期から地元のイベントに参加できて自分の立ち位置を知れる環境にいたことは本当に幸福なことだったと思っています。

本当に大事な場所なんです。

でも、このコロナ禍で痛感しました。

かけがえのない場所なのに、
本当に脆いのです。

なにを大げさな!と。
コロナが終息したらすべて元通りに復活するから、それまでおとなしくしてろというご意見もあるでしょう。

大きなイベント、例えばコミケや企業系イベントはそのように楽観視できるかもしれません。(まるでガラガラのコミックシティやコミックライブを目の当たりにしているので、楽観視と表現させていただきます。)

しかし、個人主催や、地方イベントはどうしても東京大坂などの大都市に比べ人が集まりません。これらの小規模イベントは参加者は少ないけれど運営宣伝パンフの編集などかかる手間は一緒だし、会場費も安くはないです。ぶっちゃけほぼほぼボランティアです。

地方イベントの存亡は主催者様、スタッフ様の善意によって支えられていました。

なのに、コロナ禍で精神的・経済的な打撃を受け、撤退される主催者さまの情報も耳に入ってくるようになり焦燥を禁じえません。

主催者様の気持ちを慮ってみれば、延期・中止をしたら赤字。開催しても赤字。いざ開催となると非参加者から中傷を受け、いいことなど全くありません。

続けて欲しいなんて言えません。
ただただ、悲しい…

大都市には需要があります。イベント開催や、スポンサーをしてくださる企業もあります。なので、アフターコロナには時間はかかったとしても、いつかは元通りに、という光明があるのです。

けど、地方イベントにおいては「今いる主催者さんが辞めてしまったらもう終わり」という場所が多々あるのです。

本当は。
イベント側も、出来るだけ来てください!参加してください!って叫んでいいと思うんです。それを不謹慎と叩く人がいてもいい。
参加者が主催を守るべきじゃないか、と。

でも、出来ずにいる。
それどころか、女性向けでは「人を呼ぶから大手は参加を自粛するべき」という風潮すらあると聞きます。
実際、参加した友人に教えてもらったスーパーコミックシティ大坂の状況は、他イベントに比べ惨憺たる状態でした。欠席スペースでガラガラの会場、まばらな一般参加者…

皆が参加を自粛することを問題にしているわけじゃないんです。
その行動が、本当に皆それぞれ優先順位に沿って選択した結果なのか?と疑問に思ったから、私はこの文章を書きました。

もし貴方にお気に入りのイベントがあるなら、ほんの少しだけ気にかけて、もし可能ならできる限りのサポートをして欲しいのです。
その方法は、なにも直接参加だけではありません。
カンパ、参加費の寄付、カタログ購入、主催者さんのやる気をSNSで支える…etc…

最後に。
この記事を書くきっかけについて。

2020年8月、日本では大坂でスーパーコミックシティ、台湾ではファンシーフロンティア、中国では上海コミカップが同時期に開催されました。

結果は台湾と上海は満員御礼、通路まで人がぎっしりでほぼ通常通りの開催。
大坂は惨憺たる結果。スペースも通路もがらがら。
大坂の会場写真をTwitterかブログにあげていい?と友人に相談したのですが、コミックシティはその辺は厳しいからやめてと言われ断念しました。

ですが、その様子をわかりやすくtweetして下さった方がいました。
比較写真になっていて一目瞭然。
賛否両論ありましたが、私はよくぞやってくれた!と嬉しかったです。
かなり拡散されていましたので、見た方も多いかと思います。

見た人の反応は様々。
それを嘆く人、参加しなくてよかった!と安堵する人、密になっている参加者を「馬鹿じゃねーの」と嘲笑う人、中国に怒る人、色々な意見が飛び交いました。

私個人としては「羨ましい」と。そう思いました。
確かに怖いけれど…参加者にとって感染症よりイベントの優先順位が高いからこそ、そこに人が集まるのです。それを嘲笑うなんて私にはできませんでした。

縁あってここ3年ほどは海外の同人イベントを見てまわっていたのも大きいと思います。そこで、やはり市場があることの重要性を再認識したからです。

ネットでファンアートを細々と描いていた作家たちがその国に市場が出来ることで、より見てもらおう、目立とうと創意工夫して、一枚のイラストから漫画へ、ゲームへ、立体へ、オリジナルグッズへ、と活動を広げ独自の文化を作っていく様子… 彼ら彼女らにとって、今まさに同人イベントは手放せない居場所になっています。だからこそ、作品の発表を辞めない。買う動機がある。
いつも通りに人が集まる必然性がある。

しかし、疑問にも思うのです。
日本の同人イベント参加者の「イベントに対する優先順位」は、本当にこの両国と比べてこんなにも低いのか?、と。

だから、問いかけてみようと思いました。

もしかして、私と同じように同人イベントが大事な場所なのに、日々に忙殺されてそこまで頭が回っていない人がいるかもしれない。

もしかして、「同人イベントは当たり前にあるもの、あり続けるもの」だという思い込んでいる人がいるかもしれない。それが無くなった世界を考えてもいない人がいるかもしれない。

だから。

このまどるっこしい長文を何人の人が読んでくれるのかはわかりません。
ですが、貴方がそれを考える一助になれば、(そこから導き出される結論はどうあれ)本当に幸いに思うのです。



悶亭 姉太郎

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